「持続可能な避難所運営をするために誰の力が必要になるか?」 愛知学泉大学こどもの生活学科の学生たちは、東北訪問での現地の方の話や能登半島地震の被災地でのボランティア活動を通して、この問いに対する答えを探し始めました。12月に大学・短大で行われた「学びの泉グランプリ」で発表したをこどもの生活学科の取り組みについてご紹介します。

◆プロジェクトのはじまりは、能登半島でのボランティア活動

2024年3月に発生した能登半島地震の被災地で、瓦礫撤去などのボランティア活動に参加。そこで目の当たりにしたのは、家が倒壊し、ライフラインが途絶えたという厳しい現実でした。また、被災者の方々の話を聞く中で、目に見える復興だけでなく、心の復興も必要だと強く感じました。お話を聞かせていただいた方は被害の大きな道を通り、支援の行き届いていない場所へ炊き出しやお弁当を提供しいる方で、もう一人の女性も朝の1時に起きて1人で何百食という量を作っている方でした。こうした支援が女性や特定の個人に偏っている現状にも課題を感じました。その後、震災から8ヶ月後には「能登キリコ祭り」のボランティアにも参加し、地域に少しずつ活気が戻ってきている様子を感じることができました。

◆子どもたちの力に着目

ボランティア活動後、学校へ戻り、今回の活動について話し合いました。心の復興のためには持続可能な避難所運営が必要だということ。その運営には子供の力をきっかけとすることが必要だと考えました。では、子供たちにどんなアプローチをしたらいいかと考えた時、大学の授業で子供に伝える様々な媒体があることを知りました。その中でも最も効果的だと考えたのが絵本です。震災を経験したことのない子供にも想像しやすく、自分ならどう行動しようと考えるきっかけになればと思いました。また、子どもたちは大人にはない発想力を持っていて、その行動は周りの大人たちにも大きな影響を与えるということも学びました。そこで、絵本という媒体を通して、子どもたちに分かりやすく防災・減災の大切さを伝え、心の復興を促すことを目指すことにしました。それがオリジナル絵本「ぽかぽかべんとう」です。

◆絵本の工夫点

子どもの興味を引くように、原色を多く使用し、クレヨンの水を弾く性質を活かしました。動物を擬人化し、表情豊かなイラストをたくさん使いました。また、震災ではなく、大雨をテーマにすることで、子どもたちにも身近な災害として捉えやすくしました。
~絵本のストーリー~
舞台は、ある山の中にあるお弁当屋さん「ぽかぽかべんとう」。大雨によって、お弁当を作っていたうさぎのララちゃんが体調を崩し、お弁当を作ることができなくなってしまいます。それをきっかけに、様々な動物たちが協力し、助け合う様子が描かれています。
 完成した絵本は、市内の7大学の研究発表会で展示され、多くの人に活動内容や成果を報告しました。また、今年度大学を会場に行われた避難所運営訓練にも参加し、防災・減災に関する知識を深め、絵本制作に活かすことができました。

◆活動を通して

この活動を通じて、人との繋がりの大切さや、他者に伝えることの難しさと重要性を学びました。また、想像力を働かせ、他者の経験を理解し、相手に分かりやすく伝える力、問題を発見し解決策を考える力、そして子どもたちに分かりやすく伝えるための方法を考え表現する力を身につけることができました。今後も能登半島地震ボランティアの学びを生かし、社会に還元できるよう、様々なことに取り組んでいきたいと思います。

今後の目標はクラウドファンディングを成功させ、絵本を出版することです。絵本を多くの人に届け、防災・減災意識の向上に貢献することを目指しています。

★この取り組みは「学びの泉グランプリ」で最優秀賞を受賞しました!