岡崎城西高校で2020年から行われている『防災訓練アップデートプロジェクト』。自分でやる防災研究・普及所 所長の佐野哲史氏にコーディネートしていただき、学校で起こりうる地震や水害を想定した訓練を実施しています。2023年度、このプロジェクトに取り組む先生と生徒さんのインタビュー動画を制作しました。

岡崎城西高校『防災訓練アップデートプロジェクト』(インタビュー)

◆はじまりは生徒の一言

東日本大震災後、がれき撤去や仮設住宅での交流など、岡崎城西高校からも毎年ボランティア活動をしていましたが、仮設住宅の閉鎖に伴い、震災、復興を学ぶスタディーツアーに形をかえ、一生懸命生きている人と出会い、復興とは何かについて考えるなどを目的に東北訪問を続けてきました。当時の生徒たちと現地での色々な経験を活かすためにどんな取り組みができるのかを考えた際、「学校の訓練では自分たちの命が守れない」と、2020年より『防災訓練アップデートプロジェクト』が始まりました。

◆様々な訓練

東北スタディーツアーで出会った佐野氏にコーディネータを依頼し、1年目は従来型訓練と新型訓練で2回実施。新型訓練は防災のプロと生徒、教員が議論し内容を検討し、校内の避難経路の確保に向け、制限される経路の確認と実際の誘導路の設定を試みました。2年目は「地域と繋がる防災」をテーマに、地域の方にインタビューなどのフィールドワークを実施。それを元にオリジナルマップを作成しました。大規模水害を想定した訓練史上初「上の階へ逃げる」(垂直避難)訓練を実施し、周辺地域住民と協力した避難所開設訓練も実施。3年目は高校が会場となるイベント(オータムフェスティバル)で豚汁を地域の方とふるまい、地域の方とのつながりを深めました。訓練は抜き打ちで実施され、クラスごとに提示された課題を解決。職員室の先生方にもサプライズで課題が課せられました。3年間は岡崎南ロータリークラブのクラブ事業(「岡崎城西高校と周辺地域社会における防災・減災人材育成プロジェクト」)としてご支援、ご協力いただき、取り組むことができました。


◆2023年度の防災訓練

12月に佐野氏に来校いただき、生徒や教員、そして系列校である愛知学泉大学、愛知学泉短期大学の教員や安城学園高校の教員・生徒、地域の方々とともにフィールドワークなどを行いました。(その時の様子は、「岡崎城西高校 防災訓練アップデート」をご覧ください)そこでの内容を踏まえ、2024年3月、抜き打ちの防災訓練が実施されました。訓練は教室ごとに課題(避難経路など)が課された中、順次避難。学校にいるときに地震が起きた場合を想定し、学校に残って迎えを待つのか、自力で帰宅するのかを確認。帰宅支援グッズのある場所、グッズの内容確認や校内や学校周辺の情報収集(状況確認)等が行われました。訓練終了後には全クラスをZOOMでつなぎ、佐野氏より今回の訓練の学びポイントが説明されるなど、訓練の振り返りの時間が設けられました。

◆防災を軸に地域の人々が繋がっていく

この活動に取り組む岡崎城西高校の佐治先生に今後についてお聞きしました。
 -この訓練を経験した生徒を毎年500名輩出することで大地震に直面した際、救える命が増えるはずです。防災・減災に限って言えば、防災に明るい人材をどんどん増やして行きたい。また、防災を切り口に、地域との連携を深めて行くことも大切です。どんなに頑丈な建物を作っても意味がないことは、過去から学ぶべきこと。結局、その場にいる人が重要で、長期に渡る避難生活を考えると、地域の人々の繋がりが基礎となると考えます。安城学園も、「まちづくり」を掲げており、地域に開かれた学校を大切にしています。結局は日々の関係性が重要になることから、地域のお祭りなどに積極的に参加し、つながりを深めることが重要な要素となります。そして地域の人々が防災を軸に繋がっていくことができれば、先進的かつ極めて本質的な防災活動を実施できるはずです。


学校法人安城学園では今年度から、今後起こり得る大規模災害への備えを強化するため、学園全体で取り組む「学校防災アップデート」がスタートします。先月末にはその足掛かりとなる研修ツアーも実施されました。今後の展開も適宜お知らせしていきます!