学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第4章 真の地域貢献めざし - 経営改革を今に #4 (第138話)
公開日 2012/10/20
コミュニティ政策学部就任予定の教員が会議に集う(鞍ヶ池ロッジにて) 新理事長が当面した“初仕事”は大学の新学部の増設だった。
 「コミュニティ政策学部」―それは、全国に先駆けた新学部であり、“全国初”という話題の的になるものだった。
 学園がこの学部の設置を意図したことにはいくつかの理由があった。
 愛知学泉大学は家政学部からスタートした。これは、「家庭に温かい心を、社会に新しい息吹を与えることのできる人間を育成する」という大学の教育目標を実現するための第一歩であった。スタート当初、家政学部の入学定員は50名であったが、その後80名にした。しかし、1学部としてはまだまだ適正規模には遠かった。そして、大学の教育目標を実現するために社会の中の「企業」に注目して経営学部を増設した。
 こうした中、平成7(1995)年、学園内に大学・短期大学問題協議会が置かれた。今後の社会の中で大学・短期大学をどのように発展させていくべきかについて討議がされたのである。その議論の中で、「今後の短期大学を考えて短期大学の定員を適正規模にし、時代と社会の要請に応え、地域社会の問題に取り組む学部を創設しよう」という議論が起こった。
 当時、学園の副理事長・大学学長代行であった曉は、グローカリズム(グローバルに発想し、ローカルで活動しようとする考え方)の視点に立つ地方自治政策に深い関心を寄せており、分権型社会への移行が世界の潮流であることに注目して、「地域社会」「コミュニティ」「NPO」に焦点を当てていた。昭和40(1965)年代後半から見られ出した「地方の時代」の流れは、この頃には明治以降3番目の市町村大合併の動きによって人々に強く意識されるようになり、「21世紀はコミュニティの時代」とも言われるように、コミュニティが注目されるようになっていた。こうした社会の変化を受け、教育もまたこれからの新しい社会に必要な人材を育成することが求められるようになってきていた。討議の結果、「コミュニティ政策学部」という名称を持った学部創設が決定した。
 これは、学園の建学の理念「庶民性」と「先見性」の実践とも意義づけられた。「コミュニティ」とは、一人ひとりが自立していて(あるいは自立しようと努力していて)、かつ共通の目標を複数の人間で実現するために協力・協動できる人間の集団のことである。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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