学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第3章 拡張の道は広く - 拡充の昭和三十年代 #9 (第113話)
公開日 2012/09/19
学園創立 50周年を記念して建てられた寺部だいの寿像(彫刻家・高村泰正氏制作)「4年制の専科大学は何を措(お)いても近々に開設の予定を立てています…」

 だいは、『おもいでぐさ』の中でこう明記した。
 「現在の短大が、以前の女専の後身であることは前に記した通りであります。ところが、旧女専の卒業生は、中等教員の免許状を与えられて、旧制の中等学校に奉職いたしましたので、そのまま新制高等学校教員免許状に切換えられて、高等学校の先生になりました。そこで現在、県内の高校は申すに及ばず、近県を始め、全国各地の高校で多くの先輩諸姉が活躍しておられます。
 ところが、今の短大では、高校職員の免許状がもらえないので、そのままでは、高校への進出ができなくなりました。
 そこで、そうした先輩はもちろん、本校の伝統ある特色に理解を寄せられる教育関係の各位や、在職の先輩を信任しておられる高校長達から、いつも『高校に安城の出身者が絶えてしまうではないか。何とか早く、大学の家政学部を作らなくては』と勧められております。私としても、もちろんこれを焦っている次第でございます」
 だいは、『おもいでぐさ』で現在の心境をこのように吐露し、家政学部を擁した大学設置の必要性を訴えた。しかも、だいの夢は大きかった。
 「私の夢はこの家政学部だけに止まることなく展開してゆきます。今や、プロペラ機の時代は過ぎて、ジェット機に移ってきました。もう数年もすると更にロケット機時代を迎えるようになるといわれています。そうなるとアメリカ大陸へも、2時間内外で飛べるのだそうです。世界はますます狭くなり、諸外国も隣付き合いを始めて、往来も自由に気軽にできるような時代が、もう目の前に迫っているのです。
 そうなった時、最大の障害は言語であります。私どもは世界に通用する言葉を自由に駆使する必要に迫られます。ご婦人でも、英語ぐらいは身につけておかねばなりません。
 かくて、大学に『英語英文学科』を始め、各種の専攻学科を含む『文学部』が欲しい。そして、何何学部、へと夢は際限もなく続くのです。」

―総合学園の象徴として4年制大学を早い機会に設立したい。

 だいは、日頃この事を教職員だけでなく学生にも熱く語ったが、その夢は複数学部を持つ総合大学、そして“安城からの飛翔”と大きく羽を拡げていたのだった。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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