学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第2章 刻苦の学園づくり - 学校資格を高め #7 (第72話)
公開日 2012/07/27
 大正12(1923)年3月の検定試験には裁縫師範科卒業生の大部分がパスし、23名が小学校専科(裁縫)正教員免許状を授与される快挙を見せた。
 また、この目覚しい成果が高い評価を呼び、同校にこの上ない特典が与えられることになった。同校の裁縫師範科を卒業して半年間教員の職に就いた者は、申請すれば無試験で小学校専科(裁縫)正教員の資格が与えられることになったのである。また、中等教員の検定受験資格が与えられもした。

「この指定を受けた学校は、愛知県内では2校だけ…」

 もう1校は名古屋の中京裁縫女学校(現学校法人至学館)であった。その指定の価値の程が知られた。今まで苦心・努力してきたことが徒労ではなく、間違ってはいなかったことも確信した。
 卒業生の活躍が目立ち、教員無試験検定指定校となると、学校の評価はいよいよ高まっていく。県内外からの入学希望者が急増、裁縫師範科2年生への編入希望者も増える…。
 学校にとって極めていい連鎖サイクルが出来た感じだったが、こうした流れをさらに強める出来事が起きた。

* * * * *

雑誌『主婦之友』9月号。寺部だいの半生を紹介「あんた、今売ってる『主婦之友』、見た?」
「いいや、何か書いたるの?」
「安城女子職業学校のだいさんのことが載っとるよぉ」
「へえー、どんなふうに書いたるの?」

 大正13(1924)年夏8月、雑誌『主婦之友』9月号が発売された。
 『主婦之友』は大正6(1917)年2月に主婦向けに生活情報や教養を提供するために創刊された婦人総合雑誌だったが、健康や家計、料理などの実用記事のほか、女性の社会進出といった話題を取り上げるなど、幅広い内容で女性の生き方をリードし、『婦人倶楽部』などとともに代表的な婦人雑誌として人気を集めていた。
 9月号は1年前の関東大震災を回顧する「大震災記念号」でもあったが、その号に、思いがけない、安城の学校経営者の生き様が6ページにわたって紹介されていたのだった。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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