学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第1章 社会適応の人材育成 - 社会人基礎力を学生に #8 (第18話)
公開日 2012/05/24
大空に舞う約5000個の「願いごとふうせん」 「願いごとふうせん」は、来場者がそれぞれに願いごとを書いた風船を一斉に飛ばす。その数は約5千個にも及ぶ。学生たちは、裏方としてその風船準備に懸命に取り組み、「ワクワクふうせんランド」では、ペンシルバルーンで動物や花、リボンなどをさまざまな形のものを作るバルーンアートで、来場した市民に楽しんでもらった。
 照りつける暑さの中での汗ばむ活動ではあったが、「社会人基礎力」の育成といった観点では、得るものは少なくなかった。参加した学生たちには、「地域住民と各企業が協力し、来場者と共に作りあげる」といった意識が芽生え、主体性・働きかけ力・状況把握力・発信力などが身につくことが期待されたからだった。
 裏方として企画から関わった経験は、単なる観衆として見る感慨とはまったく違うものとなる。

「まつりに対するまちの人の情熱はすごいものがあります。その情熱をまつりだけにとどめず、何か違う形で展開していけたら、まちの活性化につながると思いました」
「住民が中心となって活気溢れるまちにしていくために、僕自身もっと主体的に考えていきたい」

 参加した学生は、コミュニティ政策学部に学ぶ者らしい感想を洩らした。
 まちの人のまつりにかける思いを身を持って体験するという“生きた学び”は、明日の地域の活性化、新たな創造への架け橋にもなるものだろう。
 折から安城市の「中心市街地拠点整備基本構想」には冒頭こう触れられていた。

「JR安城駅を中心とする中心市街地は、大規模商業施設の郊外立地、人口の減少、高齢化の進行、商店街の衰退、更生病院の郊外移転等により、まちのにぎわい、活気が失われつつあります」

 その指摘は、いま地方都市が等しく抱える深刻な閉塞状況の訴えでもあった。ここに、「社会人基礎力」を身に付けて巣立った“社会に役立つ人材”が、こうした閉塞感を打ち破っていく“希望の星”となると想像することは、ロマンチシズムに過ぎることだろうか。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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