『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第1章 社会適応の人材育成 - 産学連携で商品開発 #5 (第8話)
公開日 2012/05/12
弁当開発が家政学部管理栄養士専攻・安藤明美教授によって指導されたのに対し、いちじく加工食品は同じく管理栄養士専攻・鬼頭幸男教授の担当によるものだ。
鬼頭教授は、プロジェクトへのアプローチの段階でびっくりした。学生の中にはいちじくを食べたことのない者が多かったのだ。
「でも、いちじくって、昔から民間医療の薬としても使ったって、おばあちゃんが言ってた」
「えー、そうなんだ…。何に効くの?」
「酔い覚ましに良いとか、痔(じ)に良いとか…」
「やだあ…」
「でも、美人にもなるんだって…」
「そんなら食べなきゃ…」
いちじくと聞いて交わす学生たちの屈託のない会話は、やはり現代の女子学生気質のあらわれだ。
―前途はどうなるか…。
まずは農家訪問からスタートすることに。
いちじくを試食し、その栽培が主に子育てを終えた女性や高齢者に頼り、農家女性の仲間づくり、定年退職者の生きがいづくりの場にもなっていることを知る。
そんな生産状況を学び、いちじくに関するさまざまなリサーチを行った。既製品の調査を行い、いちじくと相性のよい風味を調べ、具体的な製品を試案していった。
結果、“学泉発”「安城名物いちじくスイーツ」の開発を目指した…。
消費者に受け入れられやすく、かつ商品寿命の長い商品とは…。
その商品フォームを企業等の担当者とともに見極め、そして、民間企業の食品開発の専門知識、優れた研究実績・ノウハウを学び、教授の指導などを受けながら、試作、試作品評価とアドバイス、改良…を繰り返し、学生自らが考えるものの商品化を図った。
また、平成22(2010)年には、山崎製パン安城工場と産学連携2年目の取り組みとして、健康を意識したパンの開発に挑戦。学生ならではのアイデアを生かしたパンの開発に取り組んだ。管理栄養士専攻の学生13人が2つのチームに分かれ、20代女性が好む栄養たっぷりの「カルシウム、マグネシウムが取れるパン」「野菜を取り入れた健康パン」の2つのテーマで商品開発した。
また、大学家政学部家政学専攻の有志が、郷土料理のアレンジメニュー、旬野菜を使った惣菜の開発に取り組んだ。安城商工会議所、安城の郷との連携で、デンパーク内の和食処「ふるさと館」の郷土料理メニュー開発、産直センター安城南部内の「ふるさと・おかず工房」の惣菜開発、そして地元特産野菜に付加価値をつけて売り出す販売促進企画―地元野菜のセールスプロモーション企画を手掛けた。
だが、これら弁当開発、いちじく加工食品、パン、惣菜などの開発プロジェクトは、単に新たな商品開発を目指すだけのものでなく、大学にとっては大きな教育的成果をねらうものであった。
鬼頭教授は、プロジェクトへのアプローチの段階でびっくりした。学生の中にはいちじくを食べたことのない者が多かったのだ。
「でも、いちじくって、昔から民間医療の薬としても使ったって、おばあちゃんが言ってた」
「えー、そうなんだ…。何に効くの?」
「酔い覚ましに良いとか、痔(じ)に良いとか…」
「やだあ…」
「でも、美人にもなるんだって…」
「そんなら食べなきゃ…」
いちじくと聞いて交わす学生たちの屈託のない会話は、やはり現代の女子学生気質のあらわれだ。
―前途はどうなるか…。
まずは農家訪問からスタートすることに。
いちじくを試食し、その栽培が主に子育てを終えた女性や高齢者に頼り、農家女性の仲間づくり、定年退職者の生きがいづくりの場にもなっていることを知る。
そんな生産状況を学び、いちじくに関するさまざまなリサーチを行った。既製品の調査を行い、いちじくと相性のよい風味を調べ、具体的な製品を試案していった。
結果、“学泉発”「安城名物いちじくスイーツ」の開発を目指した…。
消費者に受け入れられやすく、かつ商品寿命の長い商品とは…。
その商品フォームを企業等の担当者とともに見極め、そして、民間企業の食品開発の専門知識、優れた研究実績・ノウハウを学び、教授の指導などを受けながら、試作、試作品評価とアドバイス、改良…を繰り返し、学生自らが考えるものの商品化を図った。
また、平成22(2010)年には、山崎製パン安城工場と産学連携2年目の取り組みとして、健康を意識したパンの開発に挑戦。学生ならではのアイデアを生かしたパンの開発に取り組んだ。管理栄養士専攻の学生13人が2つのチームに分かれ、20代女性が好む栄養たっぷりの「カルシウム、マグネシウムが取れるパン」「野菜を取り入れた健康パン」の2つのテーマで商品開発した。
また、大学家政学部家政学専攻の有志が、郷土料理のアレンジメニュー、旬野菜を使った惣菜の開発に取り組んだ。安城商工会議所、安城の郷との連携で、デンパーク内の和食処「ふるさと館」の郷土料理メニュー開発、産直センター安城南部内の「ふるさと・おかず工房」の惣菜開発、そして地元特産野菜に付加価値をつけて売り出す販売促進企画―地元野菜のセールスプロモーション企画を手掛けた。
だが、これら弁当開発、いちじく加工食品、パン、惣菜などの開発プロジェクトは、単に新たな商品開発を目指すだけのものでなく、大学にとっては大きな教育的成果をねらうものであった。
(つづく)
※ 文中敬称略
※ 文中敬称略